3分で教えます! vol.10 「身近にあるブルウィップ効果」

中小企業診断士試験の「経営管理」を勉強している中で面白い概念を見つけたので今回はそれを紹介してみたいと思います。
以前に取り上げた「マーフィーの法則」もそうですが、先人は面白い例えをするなあ、と感心します。

ブルウィップ効果

ブルウィップ(Bullwhip)は日本語では鞭のことを指します。
直訳すると「鞭の効果」「鞭効果」。
生産管理の在庫管理で使われる言葉でサプライチェーンにおける川上(メーカー・卸)から川下(小売)において
需要の変動に伴いそれぞれが保持する在庫量が影響しあい、それが波を打っているように表現できる、という意になります。
ブルウィップ効果
ブルウィップ効果のイメージ図: 最終顧客の注文数の振れがサプライチェーンをさかのぼって増大してゆく。(wikipediaより引用)

どういうことかを説明

基本私たち消費者は日用品であればスーパーやコンビニで日々商品を購入します。

そのスーパーやコンビニは一般的に卸売業者から商品を仕入れます。

その卸売業者はメーカーから商品を仕入れます。

メーカーは原材料メーカーから材料を仕入れ、商品を製造・加工します。

消費者である私たちから見たモノの流れは上記のようになります。(川下→川上)
当然スーパーなどで購入する商品群は受注生産ではなく、在庫を保持します。
スーパーでは品切れを起こさないため、普段売れると思われる数の+α(安全在庫といいます)を卸売業者に発注し
店頭に並べるように考えます。
卸売業者も同様に注文があればすぐに配送できるように+α分を保持するように考えます。
つまりは川下から川上に上がるにつれて、各形態ごとに安全在庫分の在庫量が増えるということになります。
普段販売数が落ち着いてるような商品が予想外に売れ出したりすると、品切れさせてはいけないという考えのもと
保持量を増やしてしまい、その結果在庫過多になりがちですが、その様子が鞭がしなって在庫の波が大きくなっていることに例えたものが「ブルウィップ効果」と言われる所以となっているわけです。

なにが原因か

ケースにもより諸説ありますが、需要の予測のずれが主たるものになります。これは商品の供給数を固定できる配給制にでもしない限り解決しない問題と言えそうです。
差別化が求められているビジネスの場では、品切れは悪、という考え方が強くどうしても余分に在庫を持っておく必要があるのでこれは致し方ない点ではあります。ほしい商品を置いていないスーパーに通おうとは思いませんよね。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)という考え方

そこで必要とされているのがサプライチェーン・マネジメントという考え方です。
小売・卸売・メーカーがそれぞれ独立してデータを保持し予測を行うのではなく、共通のデータ・予測のもとに在庫管理・生産計画を行うことで数量的・時間的なロスをなくそう、ということです。
「必要なものを必要なときに必要な数だけ」を実現するJIT方式(ジャストインタイム)は製造業においてトヨタのカンバン方式が有名ですが、流通業にもその考えが必要とされてきているのですね。

現状として

何も上記の考えは新しいものではなく、流通・小売業界でも一部取り入れられているものはあります。
コンビニのPOSシステムなどは進んでいて、レジでデータを読み取った段階で本部に吸い上げられて製造にまで回っていますし、イオンなどではPB商品をいち早く開発・普及させて中間に入る卸売業者を減らし、流通の簡素化を実施しています。
そのほか小口多頻度の納品なども有効な対策と言われています。

いかがでしたか?

今回は生産管理の観点からテーマを選んでみました。私たち消費者の行動がもとに起こっているブルウィップ効果。普段の買い物の背景で起こっていることに関心を持ってもらう手助けになれば幸いです。

これからも色々なテーマを取り上げていきます。リクエストなどあればページ下部のコメントから送ってください!

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