小ネタで息抜き。vol.7 「ユニーク兵器いろいろ」


軍事テクノロジーと聞くとかなり高度な世界を想像するかもしれません。
高高度を超高速で飛行する戦闘機やレーダー装置、数センチの誤差ではるか彼方の目標物に攻撃するミサイル・・・。
最近では遠隔操作で兵士と同じ働きをするロボットのようなものが登場し、人道的に問題にもなっていました。(戦争関連に人道を持ち込むのも納得感がありませんが)

そんな技術の最先端を行く軍事テクノロジーですが、長い歴史の中では思わず笑ってしまったり、首をかしげてしまうようなトンデモなものも多数存在します。
今回はそのような珍兵器を取り上げてみようと思います。

氷山空母 ハボクック



まずは珍兵器を語るうえで外せないハボクックを紹介します。
空母とは読んで字のごとく、空の母として戦闘機・爆撃機が離着陸できる船のことを指します。
艦自体には最小限の兵器しか積まず、代わりに戦闘機を積載し、広い甲板を利用して海上での戦闘機の運用を可能とする役目を担います。
小さくはありますが、基地が自由に海上を移動しているようなもので、敵国にとってはかなりの脅威となり、近辺の戦略図を変えてしまうほどの存在感を発揮します。
第2次世界大戦から主力艦として存在感を発揮し、今では国力(軍事力)を図る物差しともなっているほどです。

そんな空母ですが、直接的な攻撃には弱く甲板に穴が開いてしまったりすると戦闘機が離着陸できなくなり存在価値が一気に下がってしまうといった問題点を抱えています。
そんな問題点を一気に解決してしまおうとして登場したのが、氷山空母 ハボクックなのです。

ハボクックの特徴として最大のものは、「艦自体を海水を凍らせた氷で作ってしまおう」という発想です。
海水であれば簡単に、無尽蔵に入手できるのでいくらでも補修ができ、その場で修理ができる。素晴らしい!ということです。

一般の常識では荒唐無稽と思われるアイデアですが、実際にイギリスで真剣に検討され、国家プロジェクトとして1943年に試作艦が作られたと言われています。
しかし、実際のところは氷の強度の問題やそれにかかるコスト、戦局の変化などにより実用化されることなく頓挫してしまうのでした。

そんな現実世界では日の目を見ることがなかったハボクックですが、不沈空母としてのロマンやスケールの大きさから創作世界においては絶大な存在感を得て、軍事SFでは欠かせない存在となっているのでした。

ふ号兵器 風船爆弾



次は日本陸軍が第2次大戦時に開発し、実際に使用した風船爆弾です。
実際に兵器として運用し、些細ながら戦果を上げていることから珍兵器とは違うかもしれませんが、発想自体はやはり特殊です。

仕組み自体は気球に爆弾を乗せ、それを放球。上空の気流に乗せ日本から太平洋を横断、約8,000キロ離れたアメリカ本土まで届け、半自動的に爆弾が投下される、という設計だったようです。気球の製造には和紙とこんにゃく糊が使用され、最終的には9,300個も製造されたという記録が残っています。

特筆すべきは日本軍のほうではある一定時期だけ太平洋上空で発生する偏西風(ジェット気流)の存在を他国に先駆け把握しており、その情報を利用していることでしょうか。
気象情報を把握することも戦時下においては重要な要素となる例ですね。

さて、そのような経緯で発明された風船爆弾ですが、最終的にアメリカ本土に到達したのは200~1,000発前後と言われています。
当然ピンポイントでの爆撃などはできず、民間人に数名の被害が出た、小規模な山火事が発生した、という程度に終わったようです。
そもそもの兵器の目的が直接的な損害を与えることではなく、アメリカ本土を直接攻撃することで心理的な動揺を誘うことにあったようなので成否の判定は難しいですが、決して裕福でなかった当時の国家情勢を鑑みると効率のいいものではなかった、と言えるとは思います。

開発当初は爆弾でなく国際法で禁止されている生物兵器を搭載し、より混乱と損害を与えようとしていたようですが、当時の天皇の意向により却下された、という記録も残っています。


返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です