「なぜあの人はこういう行動をしてしまうのか?」
「どうしてこちらの思いが伝わらないのか」
こういったことはビジネス・プライベートに関わらず、誰もが感じることではないでしょうか。
結果コミュニケーションがうまくいかなかったり、ストレスを抱えてしまったり・・・。
今回はそういったすれ違いを生む「パラダイム」について取り上げてみます。
■ 目次 ■
パラダイムとは
パラダイムという言葉自体は半世紀以上前に科学哲学者 トーマス・クーンという方によって提唱された概念です。
言葉自体は古いため、いろいろな解釈がなされており一言で表現するのが難しいのですが、私なりの解釈として
といった感じになります。
パラダイムを語るうえでよく用いられる例を引用してみます。
以下の画像を見てみてください。
まず頭に浮かんだのはなにでしょうか?
奥を向いている若い女性でしょうか?
それともこちらを凝視している老婆でしょうか?
これは多義図形(ダブルイメージ)といって一枚の絵で複数の解釈・見え方がする絵画の例になります。
ある大学教授が学生に対し事前に若い女性を連想させる絵を見せたあと、続けて上の絵を見せると若い女性を、
同じく年老いた女性の絵を見せた後に上の絵を見せると老婆に見える、という回答が多く出たという研究結果を発表しています。
ここでの大事なことはどちらが正解というわけではなく、同じ事象を目の当たりにして
こちらも有名な多義図形です。
ウサギに見えますか?
アヒルに見えますか?
ちなみに私はどうしてもアヒルにしか見えず、ウサギに見えるまで5分近くかかりました・・・。
パラダイムシフト
さて、パラダイムの概念についてざっくりとイメージをつかんでもらえましたでしょうか。
ではついでにもうひとつ関連する言葉を紹介します。
それが
「物事の捉え方、見方を転換(シフト)させる」という意味で、変革などの際に必要となる概念と言われています。
ビジネス書として有名な「7つの習慣」などでは劇的な自己成長には欠かせない概念としても紹介されていますね。
代表的な例として「天動説」から「地動説」に定説が変わり、今までの常識が一気に変わったことなどがよく用いられ、革命を意味するイノベーションともセットで語られる言葉です。
現代におけるパラダイム
パラダイムは長い時間をかけて時代や個人に醸成、浸透していきます。
当然浸透した時間が長いほど根強く定着し容易には変えることができないものとなっていきます。
現代を例に考えてみると、
IT業界での常識が変わることには比較的柔軟に受け入れることができます。
ツール・アプリが変わること、今まで当たり前だった技術が使えなくなることなど多々ありますが、
すんなりと受け入れられ、定着。そしてまた次のものが出てくる・・・、といったルーティンが続いています。
変更のたびに便利になっているから、という側面も大きくあるでしょうが、ITにおけるパラダイムが定着していないことによるものだともいえます。
一方風習・慣習などはパラダイムシフトが容易ではありません。
身近な例では、エスカレーターの片側通行などはちょっとした参考になるかもしれません。
今の常識では、エスカレーターに乗る際は急ぐ人のために片側を空けることがマナーであり常識となっています(右か左かは地方によって異なりますが)。
ただ、こうすることで起こる接触事故が後を絶たないことから、片側を空けずに両側を使用、一切歩行をしないようにしよう、というルールを鉄道会社が取り入れているものの定着していないようです。
調査結果などでは一定時間で渡り切る人数は片側を空け歩行するよりも両側を埋めて流れに任せたほうが多い、ということになるようですが、
先入観や急いでいる際にエスカレーターを駆け上がって間に合ったという経験則などが根強くパラダイムシフトに至らないようです。
いかがでしたか?
このブログ自体、客観的に物事を伝えるように意識はしているつもりですがやはり部分部分で私の主観・前提が入っているので賛同できないという箇所があると思います。
私自身、冒頭に挙げたような認識の齟齬やズレ、主観の違いは日々感じています。
が、それは相手も同じこと。
そもそもパラダイムが違うのです。
自分の背景だけを押し付けるのではなく相手の立場を鑑みて自分自身のパラダイムシフトを行うよう意識する。
そういったことが少しずつでもできるようになりたいと思う今日この頃です。