『文系でもIT業界で通用するか』にお答えします!

大学の資格講座や企業の新卒社員の研修を行っていると、必ず一度は聞かれる質問が、「自分は文系の出身なのですが、IT業界に入れるでしょうか?(もしくはやっていけるでしょうか?)」です。
今回はそんな気になる質問に対して私なりの経験をもとにした解釈をお伝えしようと思います。

まずは私自身の話を

疑問に答える前にまずは私自身の話をします。
私は一言で言うと「文系一筋の人間」となります。

高校は普通科で、大学には英語と国語を軸とした教科選択で入学、最初に入社した会社では営業事務・経理を経て営業、そののちIT業界に転身、という経緯になります。
(恥ずかしい話ですが、高校時代の数学の実力テストで一桁の点数を取ったこともありましたね・・・。もちろん100点満点で。)

そんな私ですが、IT業界の一線に長く身を置いていましたし、情報処理の資格も取得し、取得支援講座も担当させてもらっています。
そんな私の一個人の経験からも「文系がIT業界にもっとも適している」というつもりはありませんが、「IT業界で生きていく・活躍することは十分可能だ」ということはいえると思います。

そもそも文系と理系の違いは?

まずは比較の対象となる「文系」と「理系」を定義づけしてみましょう。
このテーマは色々なところで論じられていて、学部を例にしたわかりやすい例を抜粋してみると、

■文系・・・法学部、経済学部、文学・人文学部、教育学部、外国語学部、等
■理系・・・医学部、薬学部、歯学部、農学部、理学部、工学部、理工学部
(参照:https://www.kurume-it.ac.jp/style/science-humanities)

というように書かれていました。個人的にも納得の内容です。
ほかのサイトなどではもっと端的に、

文系は”ヒト”を対象にしていて、理系は”モノ”を対象にしているとも。

ヒトの行いや考え、相互のコミュニケーションや歴史・行動を学ぶのが文系で、
理系はモノをとりまく法則や起源、振る舞いの効果などを求める、という感じでしょうか。

モノには純然たるルールがあるので考え方が自然と理路整然となり演繹法が用いられる。
ヒトの行いにはさまざまな要素が絡み合うので帰納法が用いられるとも言われています。

違いは上記のようにものごとの考え方が大きな要因となっていて、
必然モノを扱う理系の分野では考え方がロジカルになり、それがIT業界に適していると考えられるのだと思います。

IT業界で求められるものとは?

自分で問題提起しておきながらアレなんですが、
IT業界といっても職種は多種多様になります。
最先端の技術、今で言えばAIにおける機械学習やビックデータをもとにしたデータマイニングなどを突き詰める技術者もいれば、
膨大な検証データから新薬の開発や地震の発生確率を求める役割を担う人。
社会を支えるインフラに影響が出ないように日々保守を行う人もいれば、機器の開発を行ったり修理を行う人も当然います。
平和産業として一大産業となっているゲーム開発に携わる人もいますし、企業の営業活動を支える基盤となるシステムを扱うエンジニアも多く存在します。

これら多岐に渡るIT業界の職種・役割に対して求められるものは当然異なります。

たとえば上記の例であげた地震の発生確率などモノを対象とした分野であれば、自然界の法則や過去の履歴からの傾向などを読み取り、ルールに基づいた考え方が得意な人が適しているでしょう。
一方、人が使うシステムやゲームなどの構成を考える上では人の行動心理や欲求、思考の傾向などを反映しないといいものになりそうにありません。
女性向けの画面と男性向けの画面では配色も変わってくるでしょうし、言葉遣いも変える必要がありそうです。
若年層向けと年配向けでは同じアプリでもボタンの配置や画面構成は異なるべきでしょう。
これらもろもろの設計ごとは前章の考えに当てはめると文系の分野が適しているかもしれません。

つまりはITの中でも役割によって求められる考え方・人のタイプは異なるということです。

最後に私の体験から

ここで私自身の体験をもとにした話に戻しましょう。
(当然ITに関わるすべての業界・すべての職種を経験・理解しているわけではありませんのであくまで一個人の所感としてとらえてくださいね。)

私の経験として、「文系だからIT業界で通用しなかった」という人を見たことがありません。
この経験ひとつからして、IT業界に文系は向いていない、ということはない、と言えると思っています。

コンピューターと関わり無い経歴で業界に入り、当初は苦労する姿を見たことは多くありますが、その先文系だからという理由で業界を去っていった、という人を見たことがない、ということです。
前章で挙げたようにITを構成する役割は多くあり、求められる能力も多様です。
一見技術色が濃いと見られがちなプログラマーなどでも仕様書や設計書といった類の文書作成能力は必要ですし、人に伝えるコミュニケーション能力も欠かせません。
理系の対極に捉えられやすい営業職でもロジカルな思考で問題を解決する能力は求められる場面はありますし、コンピューターの動く仕組みがわかっていないとシステム担当をしている顧客との距離を縮めることはできないでしょう。

要はバランス能力と自分に合ったポジションを見つけるセンスがモノを言う業界、だと私は思っています。
あとは仕事として毎日触れ、積極的に学んでいけば大抵のことは自然と身についていくもの、とも思っています。

上記のような例をもとに、私は冒頭にあったような質問があった場合は、
「まったくそんなことはない!やりたい気持ちがあるならやってみるべき!」
と答えています。

「IT業界に興味や憧れがあるけれど自分は文系だし・・・」
「特殊な業界で特殊な才能が必要なのではないか」と考えている方にとって、ひとつのヒントにでもなれば幸いです。


返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です