3分で教えます! vol.3 「プロジェクトとは」

3分で教えます! 第3回はプロジェクトについてです。

世の中の仕掛けはほとんどがプロジェクトを通して構築されている、といっても過言ではなく、それだけに学術的にもかなり細かく研究がされています。とても3分でカバーできる内容ではないので、今回はプロジェクトの進行を架空のテーマのプロジェクトを想定して進めていってみましょう。プロジェクトはこういう手順で始まり、終わるのか、ということを学んでもらえればと思います。これを読んでいるみなさんはぜひ、そのプロジェクトの責任者になったつもりで読み進めてみてください。

日本とアメリカ本土を橋で繋げようと思うんだけど

ある日、あなたは社長に呼び出されこんなプロジェクトを言い渡されました。もう一大国家事業で、会社もあなたも歴史に名を残すまたとないチャンスです。間違いなくNHKからプロジェクトXの取材依頼が来るレベルですね。

東京-ロス間が約8,700km。車で120kmで走り続けると約71時間。時速280kmの新幹線のぞみでも30時間ほどかかる、そんな橋に需要があるのかはこの際度外視して話を進めます。本来のプロジェクトでは想定効果・メリットもとても必要です。

ちなみに世界最長の橋は?

2018年現在で最長といわれているのは、アメリカのルイジアナ州にあるポンチャートレイン湖コーズウェイ(Lake Pontchartrain Causeway)が全長約38kmで最長とされているようです。片道でほぼマラソンコースとなりますね。

その外観がこちら。

世界記録を一気に20倍更新だ、と社長はこのプロジェクトに社運を賭けているようです。

まずはプロジェクトを立ち上げましょう
(計画・キックオフ段階)

何はともあれ、まずはプロジェクトを立ち上げます。プロジェクト名をはじめ、参加する会社や部署・メンバーを決定していきます。その際には誰がオーナーで、誰がマネージャーかなど責任の所在と役割を明確にします。プロジェクト体制図、といわれるものです。

併せて以下の内容も決めていく必要があります。

・目的 →なぜこのプロジェクトを立ち上げるのか?を明確にします。参画するメンバーが全員同じゴールに向かって進むためには共通の指針が必要です。

・予算 →このプロジェクトでどれくらいのお金を使うか。物の調達から人の配置までプロジェクトにかかる費用を計画化します。またそれが何年後に回収できるか、元が取れるかの収支も想定する必要があります。やはりビジネスなので金銭的にもメリットがあることが必要になります。

・スケジュール →いつごろからプロジェクトが動き始め、いつ商品・サービスが完成するのか。どの時点にポイントを置き、順調に進んでいるかを判断するための「マイルストーン」を設ける必要があります。

・コミュニケーションルール →どういった種類の会議をどういった頻度で実施するのか。共有すべき資料や議事録はどのようなタイミングで誰がどう共有するのかなどの方向性を決めます。

上記の項目を含んだ「プロジェクト計画書」と言われる文書を作成して、プロジェクト参加者を一同に集める段取りをします。自社だけならともかく、大きなプロジェクトだと協力会社の調整も必要になるので、実は日程調整が一番大変だったりします。無事段取りが完了したら晴れて「キックオフ会議」の開催です。このキックオフ会議が終了することで社内・社外的にプロジェクトが立ち上がった、と見なされるのが一般的です。

渡れるだけが橋ではない
(要件定義・設計段階)

さあ、無事にプロジェクトが立ち上がりました。この先は決められたスケジュールに沿って、粛々と実行をしていきましょう。
まずは「そもそもどんな橋を作るのか」を明確に決めないと製造に移れません。

例えば、

・材料は何を使用する?さすがに木製はまずいでしょう

とか、

・車で71時間かかるので、サービスエリアはいるよね。でも何箇所くらい?

とか、

・そもそも車線はいくつにしようか?

とか、

・非常時に避難する場所とかはどうしよう、

などしっかり決めておかないとあとで取り返しつかないことになります。

(過去にとある飲食店がオープンしたので初日に店に行ってみると、排気口を付け忘れていたので営業できずオープンが延びているのを見たことがあります。当たり前すぎて計画段階で見落としがあったのでしょうか?何にせよ信じられない話です。おそらく賠償問題とかになったでしょうね・・・。)

この段階で思いつく要決定事項や懸念点を一通り出し切り、優先度を付けて協議していきます。スケジュール上決定を後回しにできるものは課題として残しておきます。例えば橋の材料は早い段階で決定してしまわないと材料の発注、製造を進めることができませんが、サービスエリアの名称であれば今決める必要がない、というように優先付けます。この段階ですべてが決定できるといいのですが現実ではありえないと思います。

よく仕事の成否は段取り八分、というように言われますが、プロジェクトにおいての成否はこの計画・要件定義のフェーズで決まる、と言われるくらい重要な作業になります。

工事に着手したはいいけれど・・・
(実行・監視段階)

どのような橋にするかが決定しました。ここからようやく実際の作成段階に移ります。

決定した条件・仕様に基づいて橋を作っていくのですが、現場では必ずといっていいほど問題が発生します。今回のプロジェクトでいくと、想定していた仕様では強度が足りないことがわかった、材料の調達が遅れている、台風が例年より多く発生しているので工程が遅れがち、など色々なことが起こります。当初予定していたより多く費用がかかるようなこともありえます。関係各署と調整を取りながら、品質を落とすことなく、予定を遅らせることなくプロジェクトを進捗させられることができるかがプロジェクトマネージャーの腕の見せ所となります。

その橋、ちゃんと渡れますか?
(テスト・リリース段階)

紆余曲折ありながら、工事も軌道に乗り出し、ようやく橋が出来上がりだしました。

ここからがテスト段階になります。設計どおりに出来ているか実際に車を走らせてみたり、強度の確認をしたり、ライフラインの設備が整っているかを確認したり。また開通に向けての準備も開始しないといけません。定期点検時や非常時にどのように対応するのかのマニュアルの整備や予行練習の実施、開通セレモニーの準備などの対応もありそうです。作っておしまい、ではなくそのあとのルール作り・体制作りもかなり骨の折れる作業となります。

東京からロスに車で行ける時代になりました!
(プロジェクト終結段階)

あなたの努力もあり、120kmのスピードで不眠不休で車を飛ばし続け、3日間かければ東京からロスに行ける橋が完成しました。飛行機なら10時間前後で行けるので優位性はほとんどありませんが、歴史的プロジェクトには間違いありません。あなたの社内評価もうなぎのぼりでバラ色の出世コースをがっちり掴みました。めでたしめでたし。
と、その前に。
プロジェクトの終結宣言と引継ぎが残っています。プロジェクトの振り返りの実施とこのあとを担当する日々の運用部署に残っている課題などを引き継いでようやくプロジェクトマネージャーの役割完了となります。

いかがでしたか?

今回は架空の事例を用いて、プロジェクトのサイクルを取り上げてみました。ここにあげたのは本当に例に過ぎず、プロジェクトの進め方や分け方などは規模や予算、また会社の文化などによって様々です。ただし、踏むべきステップなどは共通しているので参考にしていただければと思います。

これからも色々なテーマを取り上げていきます。リクエストなどあればページ下部のコメントから送ってください!


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