3分で教えます! vol.14 知っておきたい「高度プロフェッショナル制度」

先日働き方改革法案が参議院で可決、2019年の4月から順次適用される流れとなりました。今回はその法案の中でも議論の中心となっていた「高度プロフェッショナル制度」についてとりあげます。

高度プロフェッショナル制度とは

略して「高プロ」とも言われています。「残業代ゼロ法案」「脱時間給制度」。そんな名称もついているこの制度はどのような制度かをまず説明すると、
・対象は一部の職種(専門色の濃い証券アナリスト・研究開発職・コンサルタントなど)
・年収で1,075万円以上の人
・適用には本人の同意や労使間での取り決めが必要
・適用者には労働の時間の裁量が与えられ、残業代・休日手当てなどが支給されなくなる
(労働基準法の適用外となる)
おおまかに説明すると上記のような要件・内容となります。

評価の基準を「どれだけ働いたか」ではなく、「どれだけ成果をあげたか」という定量→定性に軸を置いたものに変えることで、全体の生産性を向上させることが目的となっている制度です。

メリット面でいくと、労働時間の縛りがなくなることで在宅や短縮労働が可能な多様な働き方ができ、残業しないように個々が工夫することで生産性があがる、高度なレベルで業務を行うことになっていく、といった面。

デメリット面でいくと、成果が出るまでは休日も関係なく仕事を行わないといけない、残業代が出ないため延々と働き続けることになる。そもそも「成果」の線引きが難しく結局は労働単価が下がって働きすぎの状態を生んでしまうのではないか、といった面が危惧されています。

とはいうものの、「専門職で年収1千万円以上の人が対象だったら自分には関係ないかな」と思っている人がいるかもしれません。が、

そんなことはありません!
今後働く人みなさんに関係してくる可能性があります!

なにが問題なのか?

なぜこの法案・制度について多くの議論がなされ、反対意見が多く出ているのかというと対象業務・収入の規定変更の可能性にあります。
法案には以下のような記述があります。

■対象業務=「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務」

■年収=「(厚労省の統計を基にした)労働者の給与の平均額の三倍を相当程度上回る水準」
より踏み込んだ具体的な内容は厚生省が省令で定めることになっています。

ここの解釈が危険だといわれているのです。

よくこの議論の引き合いに出されているのが、消費税です。3%→5%→8%→10%と段階的に引き上げられているのはみなさんご存知だと思います。
この法案も一度通ってしまうと、あとはなし崩し的に対象業務が広がり、大半の職種・年収層で「残業代が出ないことが当たり前」になり労働者にとって不利な状況になっていくのではないか、という懸念があがっています。

似た事例でいくと、派遣法も同様です。当初は限定した職種でだけ認められていた派遣業態も拡大を繰り返し今や4割ほどの労働者が非正規雇用となり、格差を生む一因となっていると言われています。

小さく生んで大きく育てる理屈で今回も社会に悪影響が出る可能性があるという指摘です。

そのほか、この制度の審議の過程で実際に制度の必要性を現場でヒアリング調査したという内容が杜撰・虚偽(12名程度に聞き取りをした程度)があったりもしました。

いかがでしたか?

とりあえず問題点はあるものの適用は2019年4月となっているこの制度。(現在のところ)対象が限定されていることから大きく影響が出ることは当面なさそうですが、新たな雇用体系が生まれたことにより今後労使間で柔軟なやりとりが生まれるきっかけにはなりそうな気がしています。労使双方にとって良い方向ばかりは難しいかもしれませんが、有意義な制度となればいいですね。

これからも色々なテーマを取り上げていきます。リクエストなどあればページ下部のコメントから送ってください!

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