ヴォイテク

小ネタで息抜き。vol1. 「クマの兵隊さん?ポーランド軍 ヴォイテク伍長」

ジャンル問わずの小ネタ・小話を紹介する記事です。

ポーランドのお話です

時は第2次世界大戦の真っ只中、1942年のことです。

親を亡くした一匹のヒグマの赤ちゃんがいました。近くの難民に保護されていましたが、ポーランド軍に引き取られ軍で飼われることに。

成長すると人間よりも大きくなるヒグマですが当時はまだ小さく、軍のマスコット的存在として受け入れられていたようです。ヒグマのほうもその環境になじみ、人を襲うことも無く一員として溶け込んで生活を送るように。

そして名づけられた名前が「ヴォイテク」。一般的なポーランド人男性につけられるものに近い名前で、当時の日本でいえば「太郎」とか「一郎」とかいうニュアンスでしょうか。

ヴォイテク、伍長に昇進

やがてポーランド軍にマスコット的な意味合いをかねて、正式に徴兵、物資を輸送する補給中隊に編成。日本軍では伝書鳩を軍に組み入れることはあったようですが、熊が軍に個人(?)として徴兵されるのは世界初だったのではないでしょうか。

その後、輸送時の手続き上の問題をクリアするために伍長の階級を与えられ、ヴォイテク伍長が誕生します。


後年功績が認められ、ヴォイテクが正式な部隊章に。
(参照:wikipediaより抜粋)

人間化していた?

よく動物が本来と違う環境で育った場合、自分の本来の生態がわからず勘違いして育っていく、という事象が出ますが、このヴォイテクもその傾向があったようで、

・ビールやたばこを好んで食していたり
・人間とレスリングして遊んだり
・敬礼のしぐさをしたり、怒られるとしゅんとしたり

と育った環境に順じた行動を取るようになっていたそうです。


(参照:wikipediaより抜粋)
周りの兵隊も熊としてより友達と接するような感覚だったそうです。

実際に戦闘において、重い銃弾などを運び戦果を挙げていたというような記録もあるようなので、
マスコットというより戦友になっていたのですね。

戦争の過酷な環境下でほっとさせられる話です。

終戦、そして別れ

そして終戦を迎え、軍は解散。ヴォイテクは動物園に引き取られることになります。

生まれてすぐに人間と同じ環境で育ってきたヴォイテクにとって動物園は居心地のいい場所ではなかったようで、周りと群れることなく孤立し元気なく寂しそうに過ごすことに。

昔の戦友が来るとわかるようで、じゃれて喜びを露に。今では考えられないことですが、戦友は檻に入ってもいいという規則だったようで元兵士は檻の中で抱き合ったりしていました。当時はもう既に人間より大きい熊です・・・。

以後は檻の中から出ることはなく1963年に病のため死去。22年の特異な生涯を終えるのでした。

(参照:www.ww2incolor.comより抜粋)

ほかにもいました

熊として生まれながら人間と共生したヴォイテク。そのほかにも似た事例がないのか調べてみました。

救助犬などは今でも災害時などで活躍していますが、昔の日本軍では伝書鳩が軍属で一般兵より特別な待遇?で飼われていたり、連合国軍では戦車の下に潜り込むように訓練された犬に爆弾を装着させ動物兵器とする構想があったようです。(実際の戦場では爆音に犬が混乱してしまい、幸いにも実現はしなかったとのこと)

ヴォイテクのように個人としての徴用では、ノルウェーの陸軍にキングペンギンがいます。階級はノルウェー陸軍名誉連隊長。かなりのお偉いさんです。ただしこれは完全にマスコットとして軍の宣伝の一部として、ですが。

ヴォイテクは歴史的にも新しく有名なこともあり写真・動画が結構残っています。
興味のある方は検索してみてください。
最後にヴォイテクの画像で個人的に一番好きな画像を載せておきます。

周りの兵士の表情が柔らかくこちらまで微笑んでしまう優しい一枚です。
ヴォイテク
(参照:blog.nakatanigo.net)


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